「会社を突然クビになったことをきっかけに社労士になったオタクの話」をしてきた話

シゴトのチカラ キャリア教育
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7/7に「シゴトのチカラ」というプログラムに参加してきました。
社会人が仕事で壁にぶち当たった経験とそれをどうクリアしてきたかを、高校生に全力でプレゼンするプログラムです。



このプログラムに社会人が参加することのメリットはめちゃくちゃ沢山あります。

  • 自分のキャリアの振り返りとこれからの展望を明確化
  • 多様なキャリアの存在を知ること
  • コミュニケーション能力の向上
  • 強み・弱みの獲得
  • 仕事への原動力
  • 職場・組織・仕事・業務へのコミット向上

などなど、たくさんの社会人が経験することで世の中大きく変わるんじゃない?って言うレベル。

実際、会社の研修で参加していた皆さんがプログラム終了後にいい表情になっていらっしゃったのが印象的でした。

学校や高校生たちにも良い変化が訪れたように思えました。
プログラム開始前には、大人になることや働くことに対してネガティブな印象を持つ子が多いようでしたが、社会人2人のストーリーを聴いたあとには、働くことは辛いこと大変なことも多いかもしれないけれど前向きに捉えて自分の成長も得られること、職業への関心の高まり、など考えを深めた感想が見受けられました。

生徒が変われば学校も変わる。

「学校って閉鎖的なところなんですよぉ〜」とはいろんな立場の方から聞くところなのですが、「シゴトのチカラ」を始めとする外部の人的資源を活用したプログラムを実施してみると、普段の授業とは明らかに違う生徒たちの表情に、影響を受ける先生方も多いようです。

黒歴史を子どもたちへ語ることの意味

私がプレゼンした内容は、「会社を突然クビになったことをきっかけに社労士になったオタクの話」。
会社側からしたら私の方から辞めたいと言い出したことになってるんだろうけど、事実関係じゃなくて私から見た話だからいいんだよ。

それはともかく、この話を信頼できる友人にするんじゃなく、パワポを使って高校生の1クラスを相手に語るって、それはそれは嫌でした。

自分の原点であり転換点であることは間違いないんだけど、同時に惨めで辛い黒歴史でもあって。
クビになった当時は、精神的に殺されたかのような大きな心の傷を負いました。
しかもこの話をすることで「会社への恨み言」「能力不足を棚に上げての自己憐憫」「みっともない」なんて受け取られる可能性もあるわけですよ。

こんな経歴が知れたら、私の周りの人たちも離れて行くかも……と恐ろしかった。

でもねぇ、以前から高校生のキャリア教育に携わっていたから、高校生にこの話をすることのメリットも大きなものがあるって思えたんですよね。

さっき書いたように、働くことや大人へのネガティブな印象を持ち、自分自身の可能性を信じることができない彼らの姿は、そのまま高校時代の私の姿です。

なんの取り柄も見つからないくせに、誰かと比べて「私のほうがやろうと思えばできるはず」なんて薄っぺらなプライドで武装して、でも実際にはなんの行動もしなかった高校生の私を、親でもないのに信じて応援してくれた人がいたから多少なりとも進んでこれたのかと思っています。

なんと驚くべきことに、当時の私と寸分違わない悩みを抱えた高校生が現代もたくさんいるのです。
彼らの悩みが今もまだ変わっていないってことは、教育もまた変わっていないってことじゃないですか。世の中はこの四半世紀で激変したのに!!

その衝撃が私の過去を語らせました。

大人が自分に向き合い、苦しみ悩みもがきながら、世の中の誰かを想って働く姿を見せたいと思いました。それは、おそらく今までの教育に足りなかった部分を補うものだと信じて。

「これまでの自分のキャリアを振返ること」はなぜ重要か

自分一人では、このストーリーは語れなかったはずです。

キャリアを振り返ることは今後の自分の生き方の指針を考えることに繋がります。
また日々の業務に流されるうちに、新しいことに挑戦しようという意欲が失われることもありますが、原点に立ち返ることでやる気が出てくる効果はあります。

このようにとても大切なことと分かっていても1人では難しく、なかなか手を付けられない部分だと思います。
自分の暗部には目を背けてしまうのも、自分を正当化するのも、自然な心の動きだと思うんです。

その自分の暗部に光を当てて、「シゴトのチカラ」でヒアリングしてもらったことやスライドを作りながらの自分との対話のなかで自分自身初めて気づいたことが多く、これが参加して一番の収穫だったと感じます。

実際、ヒアリングされて泣き、スライドを作りながら泣き、リハーサルで泣き、本番でも泣き、一体何度私はあの辛い思い出を叩き起こされるのか、と思いました。

無意識のうちに記憶に蓋をしていたことを、引っ張り出して初めて経験が自分のものになり、他人にも役立つものになる。

これは、たくさんの社会人に経験してほしいです。

高校生の反応は……?

リハーサルで大学生や社会人に見せたところ評判は良かったので自信がついていましたが、内容が重いので高校生はどう感じるか少し不安もありました。

最後まで付いてきてくれるだろうか、彼らの後押しになる話なのだろうか、呆れられるのではないか。
作り話と思われることだけは避けたかったので、感情を込めて一生懸命話し続けました。
仕事の内容は難しいかもしれませんが感情なら理解できるかも、という狙いです。

プレゼン中の生徒の様子は、男子のほうが反応は良くなかったように見えました。
うつぶせ寝の子もいたし、内容が理解できていないような顔をした子もいました。

私には想定内の反応でしたが、私とペアを組んだ社会人の方は難しいなぁと思ったそうです。

2人のプレゼンを聴き終えたあと、グループワークや発表を経て、自分が将来ありたい姿を書いてもらいました。
本当にほんとうに素敵だと思ったし、私もこの子たちの夢を心から応援したいし、お互いに応援し合う社会にしなきゃなぁって思いました。

みんなからお手紙のような感想も頂いたのですが、ものすごく深く理解してくれている子もいて、聴いてるときはあんな態度だったのにちょっと信じられなかったです。

自分の人生を自分で切り拓け

佐々木功の歌う「君の青春は輝いているか」というタイトル(超人機メタルダーの主題歌)があります。
作詞がジェームス三木で、小学生のときはまぁ説教臭い歌にしか聞こえなくて好きじゃなかったんですけど、大人になってから聴くと胸にしみじみ染みるいい歌なんですよ。

「シゴトのチカラ」で受け取ったものが大きすぎるので、この文章を書きながら自分の中で整理していました。
明日からこの経験をどう活かしていこうかと考えたとき、「君の青春は輝いているか」の一節が浮かんだんですよね。

「ひとの運命は 誰にも見えない 自分で切りひらけ 甘えてはいけない」
「友を裏切るな 自分をごまかすな 魂をぶつけあい 真実を語るのだ」

2020年に学習指導要領が変わって、これからますます学校と社会人が連携して活動することが多くなることが予想されます。

どう変わるかわからない世の中だからこそ、自分がどうありたいのかを考えたり実行できる人間を育てていこうという取り組みにおいて、それができる大人の姿をみせることが求められているのではないでしょうか。

私たちは、子どもたちから試されています。
私たちも勇気を出して前に進んで行きましょう。ここで立ち止まるにはいかないのです。

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【東京・神奈川・群馬】キャリア教育支援活動してきたよ(2017年5月)

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