【レポート】そこが知りたい投資と運用@オープンカレッジin水戸(2017.02.18)




『オープンカレッジ in 水戸』4時限目は『そこが知りたい投資と運用』を選択。

わたしも長期の視点で株式投資・NISA・iDeCoで資産運用しています。
でも、正直言って将来は不安!
どのような投資が自分にとって適切で、どんなポートフォリオにすればまあまあの運用益がだせるのか?そんなお話を聴いてきました。

撮影・録音・録画は禁止のため、自分用のメモ書きを元に再構成していますので、実際の発言とは異なっている部分や抜けなどがある点はご容赦ください。

登壇者:大江麻理子(テレビ東京報道局キャスター)、磯田道史(歴史学者)、野宮博(株式会社クロスポイント・アドバイザーズ代表取締役)、山崎元(経済評論家)敬称略。

講師の自己紹介

大江テレビ東京で経済ニュースを担当している。マーケット情報をお伝えしているが、報道の人間は投資に厳しい制限があり、自分でも投資経験はない。今日はド素人として先生方のお話を聴きたい。

山崎経済評論家と名乗っているが、楽天証券の社員でもある。証券会社の人間の言うことを真に受けてはいけない。わたしの言うことを真に受けないで。とはいいつつ、結論を明快にしゃべろうと思う。身も蓋もない話が今日はたくさん出てくるだろう。金融関係会社の人が聞いたら腹立たしいことも言うが、それもみなさんのお金を守るため。

野宮投資ファンドの仕事をしている。金融関係アドバイザーも。機関投資家と付き合いが多い。そういう観点でお話をしたい。

磯田『武士の家計簿』という本を書いたり『殿、利息でござる』という映画の原作をした。お金にまつわる本を書いたからこのセッションに呼ばれたのかも?経済のお話で自分が重視しているのは、正直に述べられているか、ということ。今日はどういう話になるか楽しみ。

いちばん儲かった投資は?

大江これまでを振り返って、いちばん儲かったのは何か、を磯田さんは知りたいそうです。

磯田大江さんはすごく真面目な方。これをやるにあたって質問や話したいことはあるかとヒアリングがあったので、老後の保障を考えたら30年ぐらいで増えるかどうかが気になると思うから、過去30年を見た時に儲かったり損したのはなんなんだ?と。株?社債?不動産?

山崎おそらく新興国の株式に投資していた人は相当儲かったのでは。日本はもっと成長するはずだと思っていたら、予想はだんだんダウングレードしてきた。しかし、低成長な日本の株式では儲からないかというとそうも言い切れない。予想に対して現在の価格を評価して、リスクやリターンを得る。低成長に対して高成長のほうがパフォーマンスが高いとはどちらとも言えない。過去と今後は相当違うので、予測中心に投資しようと思うとうまくいかない。

野宮新興国でなくてもインデックスなら安定的に伸びているのでは。金融庁が貯蓄から資産形成へ国民の財産を移動させるためもあり、投資信託を推してくるが、それこそ証券会社が販売手数料を稼ぐために売買を奨励する。頻繁に売買すると手数料負けしてしまう。手数料もアメリカと比べると高い。30年〜50年の長期スパンでの運用を考えるべきで、伸びるマーケットを探す。資産形成は投資と違う。一生をかけてどういう資産をつくっていくかが資産形成。老後資産を考えるならば30年後にどういう資産を築いていたいかを考える。

磯田新興国の株式投資が有利だったという話が出た。30年前、自分は17歳。19歳のとき経済史をやることになって、世界でいちばん投資に成功した人の本を全部読もう、と思って一週間で読んだ。そのときウォーレン・バフェットが本のなかで「世界中を探せばバーゲンセールの株はある」と読んだのを覚えている。投資先を一つの国にとどめて考えてはいけないのだ、とびっくりしたのを思い出した。もう一つその時思ったことは、投資は傾きの問題だ、ということ。例えばインドの自動車の台数はここ10年で5倍とかに増えている。日本の企業が増やした。30年前にインドの自動車が増えるという予測がたてられて、しかも自動車を売り込んだのは日本企業だということが予想できたら、という思考法が必要。

野宮30年前にインドの自動車の株が買えるか、という問題がある。判断ではなく技術的に無理だった。また、為替では大負けする可能性もある。見立てが良くても投資が必ずしも実行できないという問題がある。

磯田急成長するものに対して、自分は帆を張って、その力で資金を運用しないという考えは正しい?

山崎その急成長はすでに株価に織り込まれている。みんなが知らないことで、どちらに転ぶ変化が起きるか、ということ。皆が分かっていないことが将来に大きく影響するので、無難なのは分散投資。個人が覚えておくべき運用商品は3つ。リスクを取らないで運用したい場合は個人向け国債の変動10。今はこれが抜きん出て良い商品。銀行預金より安全。金利上昇リスクに対して強い。現在0.05%という最低利回りだが、銀行預金で10年持っていても0.01%なので。あとは外国株のインデックスファンド1つと日本株のTOPIXに連動するインデックスファンド1つ。それぞれ半々か6:4ぐらいの割合で持つと良い。とにかく売買手数料なし(ノーロード)で買うことが絶対条件。運用管理手数料が0.2%ぐらいのものを。TOPIX連動はETFで持ってもいい。
投資信託商品の99%はクズ。例えば日本株で運用する投資信託は運用がうまいかどうかは事前には分からない。手数料が高い投信は株価が上がれば儲けが少ない。下がれば損が大きい。個人にとってのマイナス金利の弊害は、金融マンがつまらない商品を売るようになったこと。
お金の置き場所としては確定拠出年金とNISAが有利。これをなるべく大きく使って、組み合わせれば数百万〜数億円の資産はそれ以上うまくプロも運用できない。
あとは趣味でどうぞ。

証券会社というものは

野宮日本の個人向け商品はプロは絶対買わない。これは証券会社の儲けのために販売してる?

山崎その通り。マシな証券会社が出てくれば、と思っている。自分の目標は最後の証券マンになること。

野宮山崎さんの言うようなノーロードや管理手数料が安い商品ばかりでは証券会社は潰れてしまうのでは。

山崎潰れてもいいと思う。役に立つことをしていなければ潰れるということ。

磯田証券会社の取り分は?

山崎100万円売ると3万円が証券会社に入る。運用管理手数料は100万円の残高に対して1万5千円くらい。例えば個人向け国債を100万円売ると、財務省から5千円しか入らない。しかも10年お金が寝る状態。なので、銀行員は理由をつけて国債をあまり売りたくない、他の商品をおすすめしてくる。

磯田銀行預金にすれば企業へ貸付するリスクを負わなければいけない。投信だったらリスクは客持ち、手数料は銀行に入る、こんないいことはない。

野宮もう少し長い目で考えると、昔は銀行が預金を集めて企業に貸付けて、産業振興をしていた。日本の産業はある意味、銀行の支配下にあったといえる。今はかなりの企業が無借金。銀行と企業の関係性が変わってしまって、銀行は手数料稼ぎを始めた。個人に投資をすすめるのはお客を思ってのことではない。

磯田大きい機関投資家はコンピュータですごいことをしている。機関投資家に個人は絶対勝てないのでは?

山崎そうともいえない。例えば運用会社であれば優秀な人材、膨大なデータ、技術をアピールする。だが、市場平均より儲けているわけでもない。宗教と同じビジネスモデル。

大江本当に投資していいのか不安になってきた。

山崎分散投資で買えばいいが余計な手数料を払う必要はないし、立派な証券会社だからという理由で手数料を払うのも違うと思う。株価や為替レートなどが反映する仕組みなので、競馬で言えば勝てそうにない馬のオッズは高い、それと同じ原理。

不動産投資について

野宮不動産投資については?日本人の大半は持ち家。東京は地価が高いので、資産の大半は不動産。

山崎あまり良い投資ではない。頭金が1,000万、ローンが5,000万なら5倍の信用取引のようなもの。株式に例えれば一銘柄を30年の信用取引だろう。金利が下がったということで、家賃の支払いと比べたらローンの返済が払えるだろうと思って過大投資している人が多いのではないか。持ち家が普通だという感覚があるが、不動産はどんどん余る時代。

磯田ぼくは不動産主義。国内が低成長時代。この先も高成長しないだろう。自分はこれまで家賃を払う側だったが、賃貸利回りを計算したらいい物件なら7%はある。低成長時代に自分だけ7%の経済成長率になる。ただ、買った時より資産の価値がさがるのはダメ。人口が減っても人気が落ちない場所はどこかと考える。都心は価値が下がらない。いい場所にあたりをつけて、いい物件が出るのを待ち続けるというのはどうか。

野宮他の投資に比べて不動産の価値は自分で判断できる。場所がいいとか悪いとか。自分で価値を判断できるものを買うというのは投資の鉄則。株式で有名だから買って失敗した人も多いと思う。キャッシュローンの分析までして買う人は少ないから。土地勘があって判断できれば、不動産投資は勝てる可能性がある。一方で、銀行からすれば住宅ローンはいい商売。

山崎若い夫婦に買わせてしまえば、住宅ローンに生命保険も付いていることだし、銀行にとってはいいだろう。しかし住宅価値の判断はやはり難しいと思う。自分では家を買ったことがないけれど。そんなに簡単とは思えない。

磯田空室リスクもある。税制上、不動産は優遇されているのには驚いた。たとえば講演料で税金が取られ、話が雑誌に載れば掲載料からまた税金が取られ、本になって取られ、映画になって取られる。ところが居住用に人にマンションを貸すときは消費税が取られない。この国はやっぱり土地を持って大家になる人が支配層で政権をとってるんだと思った。

老後のための資産形成

大江現在は長生きのリスクがある。いつまで生きるのかが分からない。どれくらいお金が必要になるのでしょう。

山崎計算するしか無い。今、40〜50代の人は90歳まで生きることを考えなければならない。65歳で引退したら余生が30年。大雑把に3,000万かかると言われている。家計調査では老後は現役の支出の7割ぐらいが支出していく。そこから貯蓄する額を計算するが、現在の現役世代なら手取り額の20〜25%、結構たくさん貯めないと厳しいぞ、ということになる。計算すると将来を考えたくなくなるが、そこで現役時代を延ばすとか妻が働くということも想定してみてはどうか。
今後は長く働かなければならなくなるだろうし、健康への投資も必要になる。まずは貯蓄すること。貯蓄した分に関して投資をしても良いが、運用益を当てにした老後設計はしないこと。

野宮大事なのは資産形成だから、貯蓄で構わない。ろうごは老後でなく労後。働けなくなった時どういう資産を持っているか。まず金額そしてどんな形で。多少分散したほうがいいでしょう。インフレになれば金利は上がるので、貯蓄がそんなにまずいとも言えない。

山崎病気になるとこんなにかかりますよ、と医療保険も勧められるが、大半の治療は一定程度以上は公的健康保険の高額療養費制度でカバーされる。医療保険なんていらない保険。高度先進医療特約がついているからいい、だとか言うがそれが適用される治療なんてそんなに無い。言うなれば5,000〜6,000円の医療クーポンを1万円払って買っているような実態。
若くて貧乏な夫婦が20年くらい、掛け捨ての死亡保険に加入すれば良い程度。癌だとかありふれた病気は保険に向かない。老後も必ず訪れるものだから、個人年金保険も100%無駄。民間の保険会社の保険は基本的にやめておいたほうがいい。

磯田平均寿命は予想外に伸びるのではないかと考えている。うちの娘がおばあちゃんになったとき受ける医療は今から70年後の技術。その頃には臓器はiPS細胞などで複製され取り替え可能になっている。厚生労働省は技術変化を計算に入れていない。

野宮日本の保険会社の保険料率の設定は、じつは日本人はもっと死ぬ計算。古い表で料金設定して、財務省も認めている。だから保険会社はすごく儲かっている。みんな貯蓄するために節約するけど、無駄な保険商品も買っている。

勝てる投資とは

大江投資するにあたって、目標額は設定したほうがいいのですか?

山崎目標が必要なのは貯蓄で、投資ではないと考えておいたほうがいい。年金基金などと違って個人が運用に失敗したら自分で埋め合わせをしなければいけないので、必要な貯蓄額は確保しておくこと。貯蓄ができれば将来の変化にもある程度対応ができるわけで、あまり細々とした節約ではなく、吸った息を吐くようにお金を使って、お金をそんなに意識しないで充実した人生を送って欲しいと思う。

大江そんなに上手くいかないんですよねー。

磯田学生時代に米相場史を徹底して勉強して、相場を動かすものは心理状態としか言い様がない。(山形県)酒田の米相場師・本間宗久の言うとおりだった。前近代の米相場と現代の為替とそんなに変わるところがない。どういうときが天井なのかという言及を並べてみると、「万人が呆れ果てたる値が出ればそこが高下の境なり」というのが真実だとわかる。

山崎新聞に株式投資に関心をもつ若い人が20%を割り込んでるなんて書かれている。考えてみると関心をもつ人が少ないときに始める人のほうがセンスが良いと言える。

野宮老後の話しに戻りますが、資産形成において何が効いたかというのは、何の銘柄に投資したかよりも資産をどのように分散したかのほうが最終的に重要。株ばっかりでなく不動産や現金を持つとか。数十年のパフォーマンスを見ると、国債の運用利回りに買っている株は4%しかない。株で勝とうとすると4%を選択する能力・運がないといけない。もしくはこの4%を組み込んでいるインデックスを持つこと。

山崎分散してまったりと持つ。これからトランプ政権でガタガタすると思う。騎手は変だが馬は元気だ、というのがアメリカの経済状態。ガタガタしているときに持ち株を全部売ってしまうと、いいタイミングで売るのも難しいし、売ってしまうと買い戻せなくなる。いい時も悪い時も相当程度株価に織り込まれているので、長く付き合っていけばいいという感覚で、幅広い銘柄を長期保持すればいいと思う。


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