みやこですー。
先日、調べものがあったので国立国会図書館に行ってきました。
そこで、目的の本とは全然関係ない『テレビランド』を検索してみたら全部デジタル化されていまして、書庫から出してもらうこともなく国立国会図書館のパソコンで閲覧ができるんですよ。
ついつい読みふけってしまいました。とても楽しかった……笑
そこで気になったのが上杉実くんの紹介文。「ああ~~そうなんだ!?」って、私はちょっと驚いたんですよ。
『テレビマガジン』が編集した超全集やスーパー戦隊シリーズオフィシャルムックでは書いてないような一文なんですよね。
激走戦隊カーレンジャー放映開始時の幼年各誌でどのような紹介だったのか、いっそのこと全部知りたくなったので調べてきました!
96年3月号の紹介文比較
激走戦隊カーレンジャー放映開始時に発行されていた幼年誌は『テレビマガジン』(講談社)、『テレビランド』(徳間書店)、『てれびくん』(小学館)の3誌あります。
放映開始直前に発売された96年3月号には登場人物の紹介が掲載されていて、ちびっこたちの期待を目一杯膨らませます。
まず、『テレビマガジン』から紹介文を抜粋しますね。
陣内恭介
テストドライバー。クルマのうんてんのうでは、超一流。
土門直樹
カーデザイナー。まじめで、こまかいところがある。
上杉実
セールスマンで、ちゃっかりしたところがある。
志乃原菜摘
自動車メーカー”ペガサス”のメカニックだ。
八神洋子
事務員。おしゃべりで、人なつっこいせいかく。
3誌とも見開きで5人とダップが紹介されているんだけど、『テレビマガジン』では変身後のカーレンジャーたちの写真のほうが大きくて、変身前のペガサス社員たちは顔写真だけの小さい取り扱いで、ダップの写真のほうが大きいよ……。
そして、個人的に大好きだった『テレビランド』!
陣内恭介(レッドレーサー)
ドライビングテクニックばつぐんの、テストドライバーだ!マイペースでのんびり屋だが、きめるときはビシッときめる!
土門直樹(ブルーレーサー)
カーレンジャーの頭脳ともいえる。会社では、設計やデザインを担当。せいりせいとんずきで、安全運転がモットーだ!
上杉実(グリーンレーサー)
オリジナルカーで大もうけをしようとおもって、ペガサスに入社。ちょっぴりケチでおちつきがない、営業マンだ!
志乃原菜摘(イエローレーサー)
メカニックを担当している、ボーイッシュですてきなおねえさんだ。がんこで完全主義の、プロフェッショナルなのだ!
八神洋子(ピンクレーサー)
経理を担当。会社にはいったばかりで、人にたよりがち。人なつっこいタイプなので、みんなから好かれる女の子だ!
『テレビランド』はペガサス社員5人が肩を組んで笑っている全身写真だけで、変身後のスーツ姿は同じページには掲載されていないっていう画期的な構成!
冒頭にも書いた私が驚いた一文は、「オリジナルカーで大もうけをしようとおもって、ペガサスに入社」です。
実くんは夢のクルマをつくること自体が目的じゃなくて、それを売って儲けるほうが目当てだったのか! とびっくりしたんだけど、八百屋さんに過剰装備のクルマを勧めたり、スピード増強剤をぼったくり価格で販売していたのにはこういう性格設定があったのなら納得です。
でさー、『テレビランド』は紹介ページの導入文も簡潔かつ完璧なんですよ! これも引用しますね。
カーレンジャーに変身する5人は、小さな自動車メーカー「ペガサス」の社員だ!
オリジナルカーをじぶんたちでつくりだす夢を持っていたが、いまは、敵をたおし、地球をまもることが、最大の夢になってしまった!!
カーレンジャーを応援したくなる名文ですよ!!
もともと持っていた夢をひとまず置いといて、今は地球を守ることが(否が応でも)夢になってしまったって、これ日本中の社会人がカーレンジャーに自分を重ねちゃうんじゃないだろうか。
このように『テレビランド』は他誌より対象年齢が高めに設定されてるっぽい感じが、私は好きです!
最後に『てれびくん』です。
陣内恭介(23)
車の運てんが一番うまいリーダーだ。
土門直樹(17)
メカの天才。いつも冷静だぞ。
上杉実(24)
うるさいぐらい、にぎやかな戦士。関西弁を話す。
志乃原菜摘(19)
しっかりしていて、たよりになるぞ。
八神洋子(18)
みんなのアイドル。かわいい戦士だ。
年齢付きっていうのがいいですね。
洋子の年齢19歳が18歳になっていますし、直樹は本編では最初期から「いつも冷静」には見えなかったので、企画段階の性格設定のように思われますね。
『てれびくん』も『テレビマガジン』同様、カーレンジャーがメインの紹介のされ方をしていますが、次ページではボーゾックも大きく紹介されているので、こちらも引用します。
総長ガイナモ
ボーゾックのボス。とてもきょうぼうな性格だ。
副長ゼルモダ
ボーゾックのナンバー2。口先だけのイヤな性格。
発明家グラッチ
悪のマシンをつくることを心からたのしんでいる。
悪の美女ゾンネット
うつくしいものを手に入れるためなら、手だんをえらばない。わがままな性格。
いかにも悪の軍団といった紹介文ですが、ガイナモなんかは特に性格が変わっていきましたね。
これも企画の設定なんだろうな。
3誌の企画など
3誌のうち、毎月凝った企画で楽しませてくれるのは『テレビランド』。
カラーページ以外にも、『激走タイムス』『バリバリ通信』という新聞記事を模したモノクロページがあり、南部鉄鬼氏作画の漫画『激走戦隊カーレンジャー』も毎月掲載され、他誌よりも変身前の写真が多数掲載されています。
例えばサイン付きCDプレゼントのページで、恭介が実際にサインしてる写真を載せているのがすごく誠実だと思いました。
あと「芋長のいもようかん型ちょきんばこ」っていう誰が喜ぶのかわからない付録もつけていて、そういうセンス含めて、『激走戦隊カーレンジャー』らしさが伝わってくるのが『テレビランド』でした。
『てれびくん』は「カーレンおたよりコーナー」という、子どもたちの質問に対して5人が答えてくれる記事があります。これは人気があったんじゃないでしょうか。
「5人は何歳なの?」という質問には、恭介が「おれは10月で24歳になっちゃって実と同い年だ」っていうようなことを答えているので、5人の誕生日設定は『テレビマガジンとくせいスーパービデオ』だけの設定ではなくて公式なのだという発見は嬉しかったですね。
ただ、質問コーナーで実と直樹の口調が「○○だぞ」のように違うときがあって、紙面の関係なのか編集者が理解していないのか不明ですが、そこはこだわってほしかったなと思います。
「宇宙ランド」の紹介写真は「ランド」の文字が不自然に隠されていて、『テレビランド』への配慮なのでしょうけど大人の事情が透けて見えて面白かったです。
『テレビマガジン』は時間の関係上全部を読んではいないのですが、カーレンジャーの「強いヒーロー」としての側面ばかりが強調されているような紙面で、正直言って楽しく感じられませんでした。
わたしの知っているカーレンジャーは『テレビマガジン』にはいなかった……。
本誌では変身後のスーツ姿ばかり掲載していた『テレビマガジン』から、超全集やオフィシャルムックが発行されたのかと思うと、どれだけ秘蔵写真があるのか!? という印象です。