2話は『歌い踊る・不条理・オチがドライ』と脚本家・浦沢義雄の特色がよく出ている回だと思います。
でも、わたしは脚本家や監督のスタッフ事情にくわしくないのであんまり語れないですよ!
カーレンジャー世界の中で、何が起こっているのかっていうのを中心に観ていきたい。カーレンジャー原理主義者だから(ヤバイやつ)。
ダップと5人の距離感
1話で多くのやらかしをしたダップですが、2話でも非常に自己中心的な行動が見られる。
開発中の武器をカーレンジャーに説明するために、朝礼中の社長をクルマジックパワーで眠らせたり、また、その科学的解説を理解できない5人に構わず延々と話し続ける。
そもそもカーレンジャーと一緒に行動するのも、自分の星が花火になった復讐を果たすためだと思うと、話の始まりからして自己中心的だ。
まだ戦い慣れていないカーレンジャーがピンチに陥ったときも
「あーん、このままでは激走戦隊カーレンジャーがやられる~~!」
と言っているが、どうもボーゾック対抗手段の一つが無くなる程度の雰囲気で、5人の生命は軽んじられているようにみえる。
ラストも、ボーゾックを追い払ったことをともに喜ぶでなく、ギガフォーミュラーの完成のほうを喜んでいる。
宇宙人からみたら地球人はこの程度ってことなのかもしれない。
初期はこんなにチグハグなダップと5人だが、戦いとお笑いのなかでお互いの弱さをさらけ出し、強みに気づき、次第に心を通わせてチームが出来上がっていく。
1年をかけて描かれる成長譚という基本的なポイントはカーレンジャーも押さえているから、この点は安心してみてほしい。
むしろ初期にしっかりとした目的意識が無いぶん、カーレンジャーの成長力に目を見張るものがあり、終盤の感動は非常に大きいとおもう。
今回のペガサス社員
ダップの長い説明から逃れる口実が職務内容っていうのは、うまい流れですよね。
1話で自動車会社の社員であることを明かし、2話でそれぞれの職務内容を説明している。
まだ働くということがよく分かっていない子どもたちに、言葉よりも物語の自然な流れで見せていて、理解が進むよね。
あと、めんどくさい相手からの逃げ方もわかるので大人も応用できるとおもいます。
「ボーゾック発生!」
初めてアクセルブレスで呼び出され、慌てふためく様子にヒーローなりたての初々しさが出ていてじつに良い。
まるで電話を取り慣れない新入社員のようです。
アクセルブレスの呼出音だと気づくまで時間がかかる直樹。「なにそれ?」と訊かれて「ポケベル!」と答える実。
96年当時はポケットベルの最盛期。この頃になると数字だけでなく文字表記も可能な機種がでている。が、アクセルブレスのように腕につけるポケベルは発売されていない。
PHSや携帯電話の勃興期でもあり、18話でもダップが携帯電話を借りるシーンがある。
ポケベルか携帯電話を持っていそうな実も、持っていないだろう直樹も当時は日常の光景なんだけど、すでに消えてしまった光景になりました。
今回のボーゾック
ゾンちゃんがえっちすぎてやばい。
お尻をぶるんぶるん振るし、ラスト近くのシーン、よく見ると下着やニップレスをつけていないことが分かる。手を抜かないプロの手口に相違ない!
すごい、と、おもい、ました!!
物理法則を超えたBBドンパの作戦。
「優れた歌手と勘違いする自動車」っていうのはさておき、「宇宙の騒音公害」ってどういうことだよ。カーレンジャー世界の宇宙は真空じゃないのかな??
などというツッコミしてたらキリがない。視聴者が視聴者に成れるかどうかも試されているのだ。
あとBBドンパやボーゾックたちの乗る改造車のモチーフはマッドマックスなんですかね?
日本の暴走族にしては、ずいぶん厳ついよね。ネタ元としては自信ない。
オチがドライすぎる
BBドンパに乗せられた自動車たちが空を舞い宇宙に飛び出るという、子どもが喜ぶような楽しいシーンを直前までみせておいて、騒音に迷惑したUFOがバリバリアンを攻撃してBBドンパの腕が床に落ちるっていう残酷描写は、笑っていいいのか青ざめていいのか戸惑う。
これは脚本家の持ち味なんだけど、やはり視聴者の選別がされている気がするね!
小ネタ
天馬社長がご機嫌で歌ってるのは1964年リリースの「自動車ショー歌」(小林旭)。
恭介が歌ってるのは1994年初出95年リリースの「カローラIIにのって」(小沢健二)。
社長と恭介は仲が悪いので、あえて違う歌にしたそうですが、オザケンを恭介が聴くのもちょっとイメージ違う感じする。カローラIIのような小型乗用車を好むようにも見えないし。
じゃあ恭介が歌いそうな車の歌ってなんだろう?
って考えてみたんだけど、「マッハゴーゴーゴー」とか合うと思うんだけど。アニメも好きな感じするしね。
こんな感じで今回のレビューは以上!
激走戦隊カーレンジャー第2話「踊る騒音公害」はDVDのVol.1に収録されています。